体外受精の生産率と女性の年齢。

妊娠率や生産率が体外受精を受ける側にとって見えにくいのは、分子と分母の問題だけではありません。

たとえば、体外受精を受ける女性の年齢の問題があります。

妊娠率は、女性の年齢が35歳を境に急カーブで落ち始め、通販でベジママなど妊活サプリを買い漁る40歳を過ぎると妊娠がかなり難しくなってくるのが現実です。

そして年齢が高くなるほど流産率も高くなります。

不妊治療歴の浅い20代の女性にも積極的に体外受精をすすめているところと、40代の女性の学診者が占める割合が高いところとを、同じ土俵で語ることはできません。

IVFLesson17・体外受精の生産率は15.7%。

※「妊娠数」という分子に注目する。

主要施設の高度生殖医療の実績が明らかになった。

私はこれまで、さまざまなメディアを通して体外受精などの高度生殖医療は一種のギャンブルであると述べてきました。

ギャンブルに勝つためには、どこに賭けるか、つまりどの医療機関を選ぶかにかかっているといっても過言ではありません。

しかしながら、医療機関選びの指標となるべき妊娠率や生産率が不透明である現状において、高度生殖医療を考えているカップルは、何をよりどころとすればいいのでしょうか。

2006年3月5日付け読売新聞朝刊の「病院の実力」というシリーズに『主要施設の高度な不妊治療の実績』という一覧表が掲載されました。

これは、日本産科婦人科学会に高度生殖医療をおこなう施設として登録されている医療機関のうち、より高度な技術が必要とされる顕微授精までを実施できる378施設を対象に、2004年1月から12月までの1年間の不妊治療実績をアンケート調査したものです。

この調査で263施設(70%)から回答があり、そのなかで体外受精などの高度な不妊治療による妊娠総数が10件以上と回答した202施設の一覧表が掲載されました。

私がこの表を見てまず感じたのは、わが国における現在の主要な医療施設が網羅されているということです。

この企画に関しては、私自身も読売新聞社の取材を受け、意見を求められました。

そして、このアンケートでは、非常に公平な設問が用意されていました。

私見ですが、高度生殖医療が視野に入った場合、この202施設の中から選ぶというのは最低限のルールのように思います。

なぜならこの一覧表では、妊娠総数に占める35歳以上の比率、母子の安全とも深く関係する多胎率、さらには標準的な体外受精1回あたりの費用といった、あまり聞いてもらいたくない、答えたくない設問にもきちんと数字を出しているからです。

また、紙面では触れられていませんでしたが、アンケートには、「常勤エンブリオロジストの数」「不妊カウンセラーの有無」「培養施設専用の非常用電源設備の有無」等が、設問として用意されていました。

すなわち、このアンケートに回答した医療機関は、その数字は各々の医療機関が提出したものを信用するしかないにしても、アンケートに対してフェアープレー精神をもって対応していると思うのです。

裏を返せば、この一覧表に掲載されていない施設というのは、高度生殖医療による1年間の妊娠総数が10件に満たない施設、もしくはなんらかの理由でアンケートの回答を拒否せざるを得なかった施設ということになります。

読売新聞社の許可を受け、『主要施設の高度な不妊治療の実績」一覧表から妊娠総数が年間50以上の施設を抜粋して、巻末に掲載しています。

その理由は、これによる妊娠例が年間50以上であれば、その医療機関の体外受精や顕微授精などの医療水準が信頼できると推察されるのみならず,ラボの安定度も高いと考えられるからです。

私がそのように考えるのは、年間50の妊娠例があるということは、年間500以上の採卵および培養があると推察されるからです。

すなわち「熱帯魚の水槽」のたとえに話を戻すと、培養器という水槽が24時間「ON」の状態で稼動している可能性が高いということです。

このサイトでもくり返し述べてきたように、高度生殖医療は,妊娠率の平均が20%強、生産率が15%のギャンブルのような医療です。

ましてその妊娠率や生産率が藪の中である現状において、妊娠数はある程度客観的な指標となるでしょう。

カップル自らが納得して治療に臨むためにも、どの医療機関を選ぶかの重要性は、どれだけ強調してもし過ぎることはないと、私は思います。